【教えて!マメ先生③】パパママ必見!遊び場面の「困ったな…」のお助けヒント!後編
前回の記事【教えて!マメ先生②】では、遊び場面における親にとっての「困り事」や「心配事」のうち、「大人の事情関連」について、マメ先生のアドバイスをお届けしてきました。
今回は、後編として「遊びの内容関連」について、マメ先生に伺っていきます!この記事を読んで少しでも、気持ちが楽になった、気づきが生まれたと思っていただけたらうれしいです♪
※アンケート:延べ1,000名以上の方に回答いただきました。
子どもにケガはつきもの?避けるべき?
「子どもの育ち」という面では、挑戦や冒険も大切な経験。程度を見極めて
「遊びの中でのケガ」に対する保護者の考えを聞いたアンケートの結果から多くの方たちは「多少のケガは仕方がない」と考えていることが分かります。
一方で、「ケガのないようにすることは親の責任だと思う」「どんな小さなケガもなるべくさせたくない」と考えている方もいることも確かです。
【マメ先生】
ケガについては、子どもの育ちに関する側面と、安全といのちに関する側面の両方から考える必要があるかと思います。
まず、子どもの育ちという観点からケガをどのように考えるかということについて、話していきましょう。
例えば、子どもが「でこぼこ道でもこの山や坂を自分で登りたい」「高いところからジャンプしてみたい」という意欲は、発達上とても大事なことです。当然多少の危険やケガも伴うかもしれませんが、多くの子どもたちは大体自分でもできそうなことにチャレンジしようとしています。逆に、このような経験を小さい時からしないと、どの程度なら自分はうまくジャンプできるか、どの程度なら自分が大きなケガをしなくてすむかどうかを学ぶ機会もなくなってしまうのです。
そう考えると、親が先回りして全部「ダメ」と止めてしまわないということは、子どもの育ちを支える上で大切ですし、子ども自身が「自分で自分の身を守る」という面からもとても大事です。親からすると「そんなに高いところに登って、ジャンプして危ない」と気になることがあるかもしれません。そんな時は、子どもの様子を見ながら、親側もこの程度はできそうかどうかの判断をしていただきたいと思います。
これは本当に危険だなと思うけれど、子どもがどうしてもやりたいという時は、「じゃあ、ちょっとママと手をつないでジャンプしようか」など、調整をしながらやっていくというのも一つの方法だと思います。
避けなければいけない危険「窒息・誤飲」「水まわり」「やけど」「転落・転倒」等には気を付けて!
【マメ先生】
多少の危険を伴ったとしても子どものチャレンジは、子どもの育ちの上でも大事なことと話をしてきましたが、一方で事故につながるような、子どもが予期できない危険、避けなければいけない危険もあります。
小学校入学前の子どもに起こりやすい主な事故に、「窒息・誤飲」「水まわり」「やけど」「転落・転倒」などがあります。
「窒息・誤飲」では、例えば、うつぶせ寝での窒息、おもちゃの小さな部品やボタン電池、磁石の誤飲などがあります。寝ている時の確認をしっかりすることや、誤飲の可能性のあるものは子どもの手が届かないところに保管することなどを意識しましょう。
「水まわり」では、例えば、大人が少し目を離した時に浴槽で溺水、プールや海での溺水などがあります。入浴後は浴槽の水を抜き、浴室には外鍵をつける、入浴中は子どもから目を離さないようにする、屋外では危険な場所を確認し、そこには子どもを行かせないようにするなど注意しましょう。
「やけど」では、電気ケトルのコードや、熱い飲み物がのっているテーブルのテーブルクロスなど、子どもの手が届かないように気を付けましょう。暖房器具などは安全柵などで囲みましょう。
「転倒・転落」では、例えば、ベランダや窓からの転落などがあります。マンションのベランダに植木鉢、椅子など踏み台になるものを置かないように気を付け、子どもだけを家に残して外出することは避けましょう。
また、突発的に走ったり、動いたりするお子さんも中にはいるかもしれません。それは大きな事故になる可能性もあるので、言うまでもなく止めなければなりません。そこは、親が先回りして予期し、事故が起こらないように注意しましょう。
※参考:消費者庁「子どもを事故から守る!!事故防止ハンドブック」
おもちゃの取り合いが多い…ママ友ともうまくやっていきたい…
双方の子どもの気持ちに寄り添うことを大事にしながら、時には間に入って対応しよう
【マメ先生】
子どもたちがおもちゃを取り合ったりすることは、子どもの発達上大事です。なぜなら、ちゃんと「これが欲しい」「嫌だ、貸したくない」と自己主張できるということだからです。
しかし、親子同士の遊び場でのトラブル対応は、相手の親への気兼ねがあるので、すごく難しいんですよね。
親からすると「貸して」と言われたら「いいよ」と言えることが良い子のように思えるかもしれませんが、実際は、よくよく考えると自分が大事にしているものを簡単に手放すことは、大人が考えても「それってどうかな」と思いますよね。
保育者は、子どもが「今自分が使いたい」「嫌だ」ということに対して、きちんとそういう思いを大事にします。
もし「嫌だ」と言って、理不尽に取られるような場面で困っていたら、当然子どもたちの間に入って、双方の思いや言い分を聞きながら「今、〇〇ちゃん使いたいんだって」などと仲介したり、「欲しい」と言って貸してもらえなかった、気持ちが満たされなかった子に対しては、「じゃあ、こういうものがあるけど、どう?」など声をかけて、それぞれの気持ちが納得するように対応することを大事にしています。
ただ、これが親子の場面だと、先方の親の目もあるので貸せない我が子に対して思いやりがちゃんと育っていないと思ってしまったり、自分の子ばかり独占していると罪悪感を感じて「貸してあげなさい」と言いたくなっちゃったりしますよね。そこが難しいところです。
そんな時は、例えば、我が子が「嫌だ、貸したくない」という立場なら、ママやパパが謝っちゃうのもありかもしれません。「ごめんねー。今、貸したくないんだって。じゃあ、他のを一緒に探そうか」など、相手の親にも聞こえるように「ごめんなさいねー!」と言いながら、対応することも一つかなと思います。
逆に、貸してもらえなかった子の立場なら、「これは?」と選択肢を出してあげることがいいかもしれません。無理矢理止めても、転げまわって泣いたり、大騒ぎになってしまうので、違う選択肢を上手に出すことが大事かなと思います。
先ほど述べましたが、保育園・幼稚園等だと多少の取り合いも大事と考えるのですが、親子同士の場面だと手が出てしまうと、お互いが嫌な気持ちになってしまいますよね。大きなトラブルになる前に、少し親が間に入ってあげることで気持ちがおさまることもあると思います。
親と離れられず、一人で遊べない…自立できるのか心配
外に出て、他の子どもや大人がいる場所で過ごすことを体験してみよう
【マメ先生】
もともと、不安感が強いために、親のところから離れられない子もいます。その子のタイプでもあるので、必ずしも育て方のせいではありません。親とべったり一緒にいる時間が長く必要なお子さんもいるのです。そういう子に対しては一緒にいる時間をたっぷりとってあげてほしいです。自分が受け止められると、だんだんと他のことにも興味が出てきます。
その場合、大事なことは、家の中にいるだけでなく、子育て広場・支援センター・園の園庭開放など、他の子どもの様子が見られるように外に出ることです。子どもは、だんだん他の子どもがやっていることが魅力的に見えてくることが多いので、少し親のところから離れてみたり、「行こう」とママの手を引いたりしてくると思います。だから「群れの場」というのはとても大事です。でも、すぐにそうしない子もいますので、焦らずに時間をかけていきましょう。
また、在宅で子育てしている人は、一時預かり保育を経験させることも悪くはないと思います。
最初はちょっと離れるところで泣いたりすることがあって、それがあとあとまで心の傷として残るんじゃないかと思う方も多いんですけれども、そんなことはありません。短い時間少し親と離れることがたまにあることで、他の子や他の大人と一緒に過ごすこともできるんだって子ども自身が思えることもあります。そんなことを無理のない範囲で、少しやってみるということも一つかもしれません。
たとえ、預けるのが数時間だったとしても、多くのママたちが、ちょっとでも元気になりますって言うんです。ママが元気になることで、また子どもと向き合う時間が充実してとれるという、良い循環になるといいなと思います。ママのリフレッシュも大切です。
もちろん、不安感の強いお子さんは難しい場合もあります。その時は無理をしないようにしましょう。無理をしてもお互いにハッピーではありません。そうであれば、その子が安心できるパパや祖父母などに預けることからでもよいかもしれません。
一つの遊びに集中しない。飽きっぽい…
大人が少し関わることで、一つのことに夢中になっていくことも
【マメ先生】
子どものタイプで、ちょっとやってはやめて、ちょっとやってはやめてを繰り返す子はいます。
なかなか一つのことをじっくりやってくれない、ということで悩まれる方も少なくないと思います。ですが、それは逆にいえば、色々なことに関心があるということでもあります。ただ、何か一つのことをおもしろがることも大事なことです。
一つの遊びに集中しないなと思っても、よく見ていると、その子が好きなことって見えてくると思うんですよ。
「このキャラクターが好きなんだ」「この遊びが好きなんだ」と気づいた時に、少し大人が関わってあげることで、その遊びが広がったり、深まったりすることがあります。
例えば、人形でヒーローごっこをやり始めたとしたら、「あーこっちから〇〇出てきましたー」と一緒に遊びに入ると、ヒーローが飛んで終わるだけではなくて、そこから自分で遊びの深め方を学んだりすることもあります。
公園で動き回ることが好きな子だったら、「タッチ!捕まえたー」のように、おいかけっこに転じるなど、その遊びが少し展開していくように大人が関わってみる。ただ、衝動的に走ってしまうお子さんは飛び出しの危険もあるので、あまり興奮する遊びには誘わず、細心の注意を払いましょう。
大人が少し関わることで、その子が一つのことに夢中になっていくことがあります。
ちょっと大人はエネルギーがいりますけどね。そんなことをしてみるのも一つかもしれません。
同じ遊びばかりしていて、不安…
夢中になれるものは、世界を広げていく手掛かりになる
【マメ先生】
繰り返される遊びは、もしかすると偏りがあるように見えるかもしれませんが、それはその子らしさであり、好きなことを大事にしていくことがだんだん他のことにも広がっていくことにつながるのだと思います。
遊び方でもファンタジー系(ごっこ遊びやなりきり遊び、見立て遊び)が好きな子もいれば、物の仕組み等(電車や並べ方にこだわる等)が好きな子もいる。アウトドア派の子がいたり、インドア派の子がいたり。
例えば、電車が好きなことで、図鑑など本を読むことが好きになる。電車を見るために外に行くことが好きになる。電車を見に行くことで電車好きな子と出会ってそこで交流が起こることもある。
このように、電車を通して広げていく、という考え方に変えてみたらどうでしょうか。「電車だけ」と見てしまうとすごく狭そうですが、「電車を通して興味の幅が広がっていく」と見ると、夢中になれるものが、世界を広げていく手掛かりになると思えませんか。
乳幼児期はそうやって何かに夢中になれること、そして自分のペースが受け止められていると感じられることも大事です。
なかなか完璧にはいかない子育て。時には「まあいいか」も大切に!
【マメ先生】
2回にわたって、遊び場面における親にとっての困り事について取り上げてきました。
毎日、目の前のお子さんと向き合って、子育てに一生懸命な皆さん、
大人側の事情も分かりますし、遊びが大事、ありのままを受け止めたいと頭で分かっていても、もっとしつけなくていいのか?このままでは不安…と悩む場面が多くありますね。
頑張って頑張って、なかなか思うようにいかない時、時には感情的になってしまうこともありますよね。でも、多かれ少なかれ、みんな似たようなことで悩んでいます。子育てというのは、誰にとっても完璧にはいかないものなのです。時には、「まあいいか」って思ってしまうことも大切なことかもしれません。
子どもの発達と親がご機嫌でいられることを一緒に考えていきましょう。
フレーベル館より
今回の記事はいかがでしたでしょうか。
私たちフレーベル館は創業以来、「子どもたちの健やかな育ち」を支えるため、様々な事業に取り組んでまいりました。「子どものことを想う」一員として、保護者の皆さんの悩みや不安、知りたいことなどに寄り添い、一緒に考えていきたいと思っています。次回もぜひご覧いただけたらうれしいです。
監修者プロフィール
大豆生田 啓友
玉川大学教育学部教授。専門は、乳幼児教育学・子育て支援。青山学院大学大学院教育学専攻終了後、青山学院大学幼稚園教諭などを経て現職。日本保育学会副会長。こども環境学会理事。NHK「すくすく子育て」をはじめ、テレビ出演や講演活動など幅広く活動中。多数の子育てに関する著書がある。