【教えて!マメ先生⑧】良くない言葉を覚えてしまった!どうすればよい?
「うんち!」「バカ!」「おまえ!」「デブ!」「ブス!」…。最近子どもがこんな言葉を覚えて使うようになってきた…!
親にとっては、あまり使ってほしくないなと思ったり、良くない言葉だと分からせたいと考えたり、でも子どものためにはどう対応すればよいのだろう、と悩んだことはありませんか?
今回は、「親にとって“良くない言葉”と捉えられる言葉」をテーマに、なぜ子どもはこういう言葉を使うのか、子どもへのかかわりはどんなことを意識したらよいのかなどについて、触れていきます。子どもの発達にも目を向けることで、気づくこともあるかもしれません。
一生懸命子育てをするママパパの味方、マメ先生と一緒に考えていきましょう!
下品な言葉や、荒い言葉を覚えて使っていて、どう対処すればよいのかわからない…
子どもは色々な言葉を使いながら、語彙力を伸ばしていく!言葉の意味や使い方も徐々に学んでいくので神経質になりすぎず大らかな視点も大切に
【マメ先生】
子どもというのは、色々な言葉を使いながら、語彙力を伸ばしていきます。
保育園や幼稚園、社会に出れば、色々な言葉をそこから吸収してくるので、その言葉を使ってみたくなるということは自然なことかと思います。
その中の一つがいわゆる下品な言葉であったり、荒い言葉であったりします。
例えば、「うんち」とか「おしっこ」などの言葉は、みんながゲラゲラ笑ったりもするので、おもしろいんですよね。そういう言葉を使うことでどんな反応があるか試しているということもあると思います。
人とのコミュニケーションにもなっているんですね。
言葉を使うことで他の子と笑い合ったり、つながるツールになっているので、言葉だけを単に奪い取ってしまうと、その子のコミュニケーションをも奪うことになってしまうかもしれません。
家庭では「きちんとした言葉を使いましょう」としていても、子どもが社会に出て成長していく段階においては、大人からするとあまり使ってほしくないと思うような言葉も含めて、色々な言葉を使っていくというプロセスがあるということです。
様々な経験をしていくことで子どもはだんだん「そういう風に言わない方がいいんだ」ということも学んでいくので、ただ頭ごなしに「ダメ」と禁止するよりも「今、こうやって色々な言葉の使い方を学んでいるんだなー」と、あまり神経質になりすぎない方がよいかなと思います。
少し大らかな視点も大事にするとよいかもしれません。
人を傷つける言葉や不快にさせる言葉に対しては、悲しくなってしまったり、がっかりしてしまったりする気持ちを伝えて
【マメ先生】
あまり神経質になりすぎない方がよいと言いましたが、やはり人を傷つける言葉や差別するような言葉、体のことを指摘するような言葉、不快に感じさせるような言葉に関しては、家庭の中でも、「そういう風に言われると悲しくなっちゃうな」とか、「ママすごく嫌な気持ちになるなー」ということは折に触れて伝えた方がよいと思います。
禁止する、怒るということよりも、大人が生身の人間として、そういうのは嫌だ、と感じた気持ちを伝えることが、子どもに届きやすいかと思います。
「親ががっかりする」ということに、子どもはすごく敏感です。
親が悲しんだり、がっかりしたりすることで、「あ、こういう言葉を使わない方がいいんだ」ということを学習していく機会になるのではないでしょうか。
また、「〇〇ちゃんがそういう風に言われたら、すごく嫌な気持ちにならない?」など、自分だったらどうかと、子ども自身のことに重ねて話すと、子どもは分かりやすいかもしれません。
丁寧に話していくことが、丁寧な言葉を使う文化を学ぶことにつながる!
【マメ先生】
基本的に子どもの気持ちが荒れていなければ、そんなに荒い言葉を使うようにはなっていきません。むしろ感情的に怒られる方が逆効果かなと思います。
「あんた、自分が言われたらどう思うの!!」のような激しい言い方は、荒い言葉を使うことをむしろ親自身が教えているようなものですよね。
なので、そういう時に大人側がちゃんと冷静に伝える、丁寧な言葉で伝えるということが大切です。
その子が出合っている、例えばゲームやメディアの中で出てくる言葉なども含めて、外から入ってくることに悩まれる方も多いかと思いますが、一番影響力が大きいのは家庭だと思います。
すぐに丁寧な言葉遣いになるというものではありませんが、家庭の中で、子どもに丁寧に話しかかわり続けていくことで、それが日常となり、子どもの中に丁寧な言葉を使う文化として育まれていくことにつながっていくと私は思います。
今回の記事のポイント!
◎子どもは、大人が感じる「良くない言葉」も含めて、色々な言葉を使っていくプロセスがあることで、語彙力も伸び、言葉の使い方も学んでいく
◎人を傷つける言葉や不快にさせる言葉については、悲しい気持ちやがっかりしてしまう気持ちを伝えたり、子ども自身に重ねて話し、自分で考えられる機会をつくったりしてみよう
◎大人が冷静に丁寧に話していくことが、丁寧な言葉を使う文化を学ぶことにつながる
監修者プロフィール
大豆生田 啓友
玉川大学教育学部教授。専門は、乳幼児教育学・子育て支援。青山学院大学大学院教育学専攻終了後、青山学院大学幼稚園教諭などを経て現職。日本保育学会副会長。こども環境学会理事。NHK「すくすく子育て」をはじめ、テレビ出演や講演活動など幅広く活動中。多数の子育てに関する著書がある。