【教えて!マメ先生⑥】イヤイヤ期、親はどう向き合えばよいの?

個人差はありますが、1歳半~3歳頃に多くみられる「イヤイヤ期」。

何でも「イヤ」と言ったり、自分の思い通りにならず泣き叫んだり、地面に突っ伏してしまったり。

周りの目も気になるし、1日の生活の流れもあるし、「何で伝わらないの?」「どうすればいいの?」と保護者の皆さんもイライラしてしまったり、辛くなってしまったりすることもありますよね。

そんな時、一旦子どもの立場に立って考えてみると、少し考え方や対応も変わってくるかもしれません。一生懸命子育てをするママパパの味方、マメ先生と一緒に考えていきましょう!

イヤイヤ期って、どんな時期?

反抗ではなく、自己主張や気持ちのコントロールの仕方を学んでいる時期!

【マメ先生】
イヤイヤ期は、親からすると大変な時期。こちらが「もうイヤ!」と言いたくなりますね。

イヤイヤは個人差も大きく、かなりひどいイヤイヤの子もいれば、あまり目立たない子もいます。「第一次反抗期」とも言われるこの時期の子どもですが、親に反抗しているのでしょうか?

いいえ、違うのです。反抗しているわけでも、わがままになってしまったわけでもありません。

この時期の子どもたちは、できることが増え、何でも「自分でやってみたい」という自我が育ってきています

でも、自分でやろうとしても思ったようにうまくいかなかったり、言葉でうまく表現できなかったりすることが多い時期でもあります。こうした成長の表れが、イヤイヤ期と呼ばれる子どもの姿なのです。

最近の脳科学では、この時期の子どもは感情をコントロールする前頭前野がまだ発達途中なので、気持ちの抑制が難しいのは、当たり前のことと言われています。

この時期、子どもは自己主張や気持ちのコントロールの仕方を学習しているのですね。

親はどのようなかかわりをすればよいの?

【マメ先生】
子どもの成長にとって大切な時期と分かっていても、親としては目の前で泣き叫ばれたりしたら、正直困ってしまいますよね。

私は、次の4つのかかわり方を提案しています。

①嫌な気持ちに共感する

子どものイヤイヤに対して、親が怒っても解決しません。かえって大変なことになります。まずは、その子の嫌な気持ちに共感してみましょう。

ギュッと抱きしめて「イヤだったよねぇ」などと声をかけることで、落ち着くこともあります。

なぜ共感してもらうと落ち着くのでしょうか。

イヤイヤしてしまう背景には、子ども自身、自分が何に対して怒っていて、それをどう表現したらよいか分からなくなっていたり、気持ちのコントロールがうまくいかなくなっている状況があったりします。

でも、それをきちんと受け止めてくれる人がいて、「イヤだったんだね」「こういうことだったんだよね」と分かってくれることで、自分でもなぜ嫌だったのか、どんな気持ちになったのかが分かって、そしてその気持ちをこの人は受け止めてくれたと感じるはずです

そういう誰かがいることで、自分の気持ちをおさめていくことができるのだと思います

②気持ちを切り替えられるような提案や選択肢を出す

「今日は、特別に大好きなジュースを買って、飲んじゃおうか?」など、気持ちが楽しくなるような提案もたまにはよいかもしれません。

あるいは、「これとこれがあるけど、どれかやってみる?」など、子どもに選択肢を提示してみるのもよいですね。

なぜ提案や選択肢を出すのがおすすめなのか。

先ほども触れたように、この時期は自我が発達する時期なので、「自分で決めたい」という思いが強くあり、自分で決められたということが、成功体験につながっていきます。

自分で気持ちの整理がつかない中で、いくつかの方向性を示されることで、「あ、これだったらいいかも!」と自分で決めることができると、自分の気持ちが満たされると同時に、気持ちを切り替えることに結果的につながるのです。

③イヤイヤが起こるような状況をできるだけ作らない

例えば、お出かけの支度の時など、その子のこだわりを尊重してあげられているか、「早くしなさい!」と急かしていないか等、意識してみてください。

ちょっといつもと違ったり、急かされたりすることですごく嫌な気持ちになり、イヤイヤが起こることがあります。

その子が気持ちを乱さないでそのことをしてくれる時ってどういう時なのかということを親側も普段の生活から見ておくと、うまくいくこともあるかなと思います。

また、いつも「これ欲しい」「ここに行きたい」と言ってごねるような場所には近づかないようにすることも一つです。このようにイヤイヤが起こるような状況を作らない努力も大切です。

④嵐が過ぎ去るのを待つ

多くの場合、イヤイヤ期はそんなに長く続くわけではありません。

「1~2年は、これに付き合うしかないな~!」というくらいの心持ちが、子育てのストレスから親を救ってくれることもあります。

この時期はこういう時期なので、焦ったり感情的になったりしてもどうにもならないと理解して、「そういうものだ」と長期的な視点で見ていきましょう

上に挙げたようなかかわり方を実践しているけど、なかなかうまくいかないという方も多くいます。そうなんですよね。

その子によって、うまくいく場合もあれば、なかなかうまくいかない場合もあります。アドバイス通りにやれば、必ずしもすぐにおさまるというわけではないのです。

でもね、「その後に」効いてくるってこと、あるのです。どういうことか。

「自分の気持ちがうまくおさまらなかった時に、お母さん/お父さんはいつも私の気持ちを大事にしてくれた」「いつも僕の味方でいてくれた」という事実が、子どもの心に残ります

親からすれば、その場をどうやって乗り切るかということに目的が置かれがちですが、子育ては、長期的なものです。

寄り添ってくれたという事実が後々子どもの心に残ること、そのことがむしろ大事なことなのだと私は思います。

イライラして感情的に怒ってしまった…。そんな時は?

一生懸命だからこそ、戸惑い、悩む。自分を責めないで。

【マメ先生】
子どもが成長することで「できるはず」と期待してしまい、それができないと「どうしてできないの!」と感情的になってしまったり、あなた自身の生活の流れが思うように進まずイライラしてしまったり、逆に「こんな風になってしまうのは私の育て方が悪いからではないか」と不安を抱いてしまったりすることも時にはあるかもしれません。

でも、自分を責める必要はありません。子育てをしていれば、誰もがそんなものです。親は毎日、十分頑張っているのですから。

もし、感情的になりすぎてしまったと思ったら、「さっきは、ごめんね」と言って、抱きしめてあげましょう。それで十分伝わるはずです。

親自身のリフレッシュの時間もとってくださいね。気持ちのリフレッシュ法を持っておくこともとても大切です!

今回の記事のポイント!

◎イヤイヤ期は、自己主張や気持ちのコントロールの仕方を学んでいる大切な時期

◎「共感」「切り替えの提案・選択肢提示」「イヤイヤ発生状況をできるだけ作らない」「待つ」を意識してかかわってみよう

◎子どもに対して感情的になりすぎてしまったら、「ごめんね」を伝え、抱きしめてあげよう

◎親もリフレッシュして、ストレスをためこまないようにしよう

監修者プロフィール

大豆生田 啓友

玉川大学教育学部教授。専門は、乳幼児教育学・子育て支援。青山学院大学大学院教育学専攻終了後、青山学院大学幼稚園教諭などを経て現職。日本保育学会副会長。こども環境学会理事。NHK「すくすく子育て」をはじめ、テレビ出演や講演活動など幅広く活動中。多数の子育てに関する著書がある。